28話 その手を汚すのは…誰が為?
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「ああ、そうだな」
まだぎこちないないけど小さく笑うルーク。今はまだ緊張感があるからいい。けどケセドニアに着けばその緊張は解けて……更なる悲劇が待ち受ける。これは避けては通れない道だと思うからこそジェイドにも言わない。のちに大きなものを得ることになる、そう信じてるからこそ為すがままに任せるしかないんだ。
「あの……そちらの軍人さんは、タルタロスに乗っていたそうですね」
話がひと段落したところ現れた中年の男性。あっ…と小さな声を上げてしまいみんなに目を向けたけど聞こえてはいなかったみたいでホッとする。
「ええ。タルタロスを指揮していました。何かありましたか?」
「乗組員にマルコという兵士はおりませんでしたか?」
「マルコって、ジェイドの副官だったよな」
以前にエンゲーブには立ち寄っている。ジェイドの姿を目撃していなくてもタルタロスが停泊してたのは知っているはず。たぶんルークともめた人たちの中の誰かから聞いたのだろう。聞き覚えのある名前にルークがジェイドに聞き返すと男性の顔色が変わった。
「副官!そうですか!マルコはそんな出世を!あいつは自慢の息子なんです!かかあも喜ぶぞ!」
息子の出世に喜ぶ父親。その姿は私たちには痛々しく思えた。男性には聞こえるか聞こえないかの小声でティアが彼は……と呟く。
「それで、あいつは今、どうしてますでしょうか?この戦いだ。前線に出兵させられた、なんてこともあるんでしょうか」
「あ……あの……息子さんは……」
喜びの中に今の状況では戦場に出ているのではという不安も駆り立てられたのか表情を少し曇らせる。ルークも本当のことを言えず言葉を詰まらせる。あの悲劇を食い止められなかった……忘れることは出来ない。忘れてもいけない。また……彼にこんな役目を任せてしまうことになるのも申し訳なくて、でも頼るしかなくて…もどかしい。