28話 その手を汚すのは…誰が為?
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「今のところは、か」
エンゲーブの住民を連れて歩き始めて数時間。出発した時間も早いとは言えたものではなかったからすでにもう日が暮れてしまったため今日はもう休息を取ることにした。住民たちは肉体的疲労より精神的披露のほうが強いらしくボソボソっと会話はあるもの覇気のようなものはない。せめてもの救いは一日目は戦闘がなかったこと。けどあと二日もある……その二日の間に戦闘がないに越したことがない。そんなに上手く行ったらどんなにいいか。
「なんとか無事にここまでこられたな」
「ええ、上出来です。もっと手間取るかと思いましたが、見直しました」
敵兵が潜んでいないか辺りを確認しに行ったルークとジェイドが戻ってくる。同様に怪我人がいないか見回りに行っていたティアも帰ってきた。
「……今どの辺りだ?」
「まだ全行程の半分にも満たないですよ」
野営を敷いた付近に敵……キムラスカ兵の姿はなく交代で見張りをすると言うことになった。歩いてケセドニアに行くことなんてそうはない。まだ三分の一程度と言ったところじゃないかな。
「そうか……まだまだだな」
「まだ遠いけど焦って急ぐ必要はないよ」
先の長さに表情を険しくするルークの肩をぽんっと叩く。えっ?目を丸くしたルークが可愛いなとか思ったのが顔に出そうになったから隠すように笑みを浮かべてみる。
「早く戦火を抜けなくちゃって焦って急ぐ方が危ないよ。私たちはともかく他の人たちは一般人なんだから」
「そうですね。のんびりはしていられませんが、下手に怪我をされた方が後に響きます」
「確かに、そうね。今は初日だけど目的地に近づくに連れて体力的にもキツくなるし、緊張が解けやすくなるわ」
一歩でも先に……それは誰もが思うところだけど、焦って進みすぎてしまえば知らぬうちに体力は奪われる。しかもケセドニアに近くなればなるほど安心からか緊張が解けてしまう。その時が一番危険。