28話 その手を汚すのは…誰が為?
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「崩落って……ここがセントビナーやアクゼリュスみたいに、消えるってことですか!」
「残念ながらその通りです」
投降したところでこのエンゲーブは崩落が待っている……ううん、もう目の前まで来ている。その事実にローズ夫人は顔色を変えた。無理もない、急に戦争が起こりセントビナーが外殻大地からなくなってしまった以上、防衛ラインがなくなってしまった。ただでさえ戦火に巻き込まれそうだというのに次に待っているのは崩落。一般人なら絶望してもおかしくはない。
「……なら徒歩で、ケセドニアへ逃げますよ」
幸い、橋も直りましたし……と意気消沈に肩を落とすローズ夫人。
「ジェイドさん、ノエルに出来るだけ頑張ってもらって私たちは私たちの出来ることをしましょ」
「…真咲」
「真咲の言うとおり俺たちは徒歩組を護衛しようぜ」
今は一分一秒を争うとき。時間は待ってはくれない。これがシナリオ通りだろうとなんだろうと関係ない。これが現実だから救えるのなら諦めずに先へと進みたいのはルークも一緒。ルークだけじゃない、もちろんティアもジェイドもここにはいないナタリアたちも一緒だ。
「ルーク……そうですね。ただ私たちだけでは心許ない。エンゲーブの駐留軍に話を付けてきます」
不安は拭えないが何もしないよりは。私とルークの言葉に頷いたジェイドは少し待ってて下さいとこの場を後にした。
「もしも予定より早く搬送が終わった場合、こちらに来てくれることになっています」
期待しない方がいい。と事情を説明しに行ったジェイドが戻るとすぐに住民の避難が始まった。まずは老人は子供を順にアルビオールに乗せる。あらかた済んだところで、後をノエルに任せて私たちは残りの住民を連れて村を出る。
この先は今までで一番の緊張が走るだろう。一般人を守りながら何日もかけて戦場を渡り歩くのだから。再び、人の血を浴びてでも彼らを守らなくてはならない。出来れば敵とは遭遇はしたくない……けどそんな簡単には行かない。だから……今はエンゲーブの住民を守ることだけを考えよう。