28話 その手を汚すのは…誰が為?
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「大佐!戦線が北上するって噂は本当ですか」
カイツール付近でナタリアたちを降ろしたあと、急いでエンゲーブに向かい、事情を説明するためにローズ夫人の家へと向かう。さすれば、ローズ夫人もジェイドの姿を見るなり近寄り不安の表情を浮かべ現状を問う。
「そうたやすく突破されはしないと思いますが、この村がきわめて危険な状態なのは確かです」
「どうしたもんでしょうか。グランコクマに避難したくても、もう首都防衛作戦に入っているらしくて……」
もうすぐ戦場になると言うのに逃げ場が無い。北に向かっても首都には入れない。南に下れば敵軍が待ち構えている。ジェイドもグランコクマは戦時下は要塞になってしまうとはっきりと、けど溜息混じりに言う。
「どのみちこの大陸は危険だ。いっそケセドニアまで逃げれないかな」
「そうね、教団の支配力が強い街だから、戦場に近くても安全だわ」
行き場がないからここにいてはいずれ崩落に巻き込まれてしまう。そうすれば遅かれ早かれエンゲーブの住民はアクゼリュスの住民の二の舞になる。
「しかしこの街の全員を、アルビオールの乗せるのは無理です。かといって徒歩で戦場を移動するのも危険でしょう」
「年寄りと子供だけでも、そのアルなんとかで運んでもらえませんか」
アルビオールに乗せられるのはせいぜい数十人。村一つ分の人間を乗せるのは到底無理。ジェイドの言葉に困却な表情を浮かべるローズ夫人はせめて子供年寄りだけでも助けてほしい、自分たちはキムラスカ軍に投降すると言う。それは、何にしてもどちらにしてもエンゲーブの住民に死が待っているのに。それをわかっていてそうさせるわけにはいかない。
「それじゃあ崩落の危険が残ってる!」
ルークも二度とあんな思いをしたくないのだろう。ここに、このルグニカ平野にいてはならないと首を振る。