28話 その手を汚すのは…誰が為?
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「……真咲?」
ティアの言わんとしていることを私が言う。ヴァンの企みのことはティアが話すというのにさも私が知っているかのように話し始める。みんなを代表するかのようにルークが私の名を零す。
「……アクゼリュスが崩落していくとき……微かな意識の中で聞こえた言葉…」
裏切り、外殻大地を存続させる、この世の仕組みの愚かさと醜さ……そしてティアにだけは生きていて欲しい。この会話からヴァンはあの場にいた者の中でティア以外は死んでも構わない。何千のもの人間が死のうと構わない。そう言っているように聞こえた。現に今だってあの一件が原因でルグニカ平野にいる両軍とエンゲーブの住民は崩落に巻き込まれる。それが意味することは……
「崩落に乗じた大量殺人…」
淡々と長々語れば誰かが息を飲んだ音がした。自分でも怖いくらい冷静な低い声だった。言葉を濁したが、冷静に考えれば私がこの先の未来を知っているとわかるはず。けど現状と私の言葉でそこまで頭が回らない。私にとっては好都合だけど。
「シュレーの丘のツリーを無くし、戦場の両軍を崩落させる……確かに効率のいい殺し方です」
沈黙を破ったのはジェイド。あとで怒られる気もするけど正直、この光景を目の当たりにするとヴァンへの憤りが溢れかえって仕方なかった。だから後のことをあまり考えずにティアの言葉を遮った。
「冗談じゃねえっ!どんな理由があるのか知らねぇけど、師匠のやってることはむちゃくちゃだ!」
「戦場がここなら、キムラスカの本陣はカイツールですわね。わたくしが本陣へ行って、停戦させます」
ジェイドが沈黙を破ったのを皮切りに今度はルークが怒りを露わにし、ナタリアが現状の打開策を案じ提案する。さすればティアが補給の重要拠点であるエンゲーブがセントビナーを失った今、無防備でその戦況に巻き込まれると示唆する。