27話 廻り巡る記憶の水面
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「これでも駄目なのかしら」
各箇所の仕掛けを解いてパッセージリングがある広間の譜陣を消し、再びパッセージリングの前に戻ってきた私たち。特に変わった様子がないことにティアが首を傾げながらパッセージリングの前を通り過ぎると正面に設置されていた譜石が形を変える……それを見たナタリアが小さく目を見張った。
「ティア!ちょっとその譜石に近づいて下さる?」
「……?いいけど」
ナタリアに言われ訳も分からないままティアは譜石の前に立つ。それと同時に何の反応もなかった譜石が光り、まるで本のように開く。開いた譜石からかティアの体が青白く光り、彼女の体の中に吸い込ませるように消えた。パッセージリングを起動させるためにティアの体内に瘴気で冒された第七音素が取り込まれる。それを分かっていて私は何もしてあげることが出来ない。みんなと共にすると決めたのに、何も出来ない自分が歯痒くて仕方ない。
「ゴメンね、ティア………っ!?」
後ろで一人罪悪感に駆られる。誰にも聞こえない程度の声で謝罪の言葉を口にする。みんなはティアのおかげで操作盤が展開された方に集中していて気付かないでいる。正にその時、以前にも感じた息苦しさを感じた。体中を蝕むような何かを……何かと思ったが、それはすぐに思い出された。あれはフーブラス川とアクゼリュスで感じたもの。
私の体内にも瘴気が入り込んだ……でも何故?
今回のはティアがユリアの子孫だからパッセージリングが反応して、第七音素が体内に入り込みその際に第七音素に混じった瘴気も一緒に取り込んでしまっている筈なのに。なのにどうして私にまで?いくら音素に瘴気に敏感の体だからといってもあり得ないはず。
「……今は…」
それを考えている場合ではない。今は……セントビナーを救うことを。ただそれだけを。だから、気付かれてはいけない。ティアのように……気付かれてはいけない。