27話 廻り巡る記憶の水面
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「真咲殿」
私が一番最後に部屋を後にしようとすると声を掛けられた。それはテオドーロで何だろうと思いながら、前を歩いていたジェイドとイオンにすぐ行きますと言い、テオドーロへと振り返る。名指しで呼ばれるようなことなどした覚えはないし、実際に誰かを呼び止めるなど物語にもない。でも……名を呼ばれたとき。ユリアシティに着いたときにも感じたざわついたというか落ち着かないというか……急に動悸が激しくなった。
「…なん、ですか?」
ジッと……まるで睨み付けるかのように私を見るテオドーロ。敵意、そんなものを感じる。
「あなたは……裏切り者、ルーチェ・リグフィンドの転生者でしたな」
「裏切り…!?どういうことですか?」
ユリアに反発したのは確かだけど、裏切り者と称される意味が分からない。イオンからユリアと敵対してルーチェの力を恐れたユリアが音素を封じ異世界…私の住む世界に飛ばされたのは聞いた。けど…裏切り者って。つい声を荒げてしまい、チラッと部屋の入り口を見たけど誰もいなくてそれには安堵する。そして真っ直ぐとテオドーロを見つめ、その真意を問いたい。
「裏切り者でしょう……始祖ユリアを否定したのですから」
淡々と且つ冷ややかな目で言う。彼と顔を合わせるのはこれで二回目。前は口を利くことはなく、ただ互いに顔を合わせただけ。なのに言い終えた彼の目は軽蔑の眼差しへと変わっていた。
「……ルーチェは、ユリアを否定したのではない……彼女自身、ユリアを嫌っていたとはおもえな……」
「否定したからこそ、音素を封じられ異世界へと転移させられたのであろう」
なぜそう言葉が出たのか分からないが、私がそれを言い切る前に、そう割り込んだテオドーロ。ユリアと反発して音素を封じられ異世界へと飛ばされた……これには何一つ間違いはない。だけど…結局はその通りになってしまっているのに。