27話 廻り巡る記憶の水面
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「……あなたは知ってましたね、真咲?」
「……はい……知って、マシタ」
ああ、やっぱり。ジェイドの横に着くや否や視線をこちらに向けることなくそう聞いてきた。隠してもバレることだから素直、とまでいかないけど知っていたことに頷く。
「知っていて黙っていたわけですか?」
「だって、その……言うわけにはいかないじゃないですか」
みんなには言わない。私がこの先にある未来を知っていることを、言わない。そう決めた。それにはジェイドもピオニーも了承している。言う機会がなかったというかすっかり忘れていたというか……まぁ後者だけど。
「ほぉ、知っていてそれを見て笑っていたのですか。あなたは?」
「うぅ…いえ、笑うつもりなんてなかったですよぅ」
間近で見たらなんだかおかしくなったなんて言えないし。十歳近くも年上の男の人を可愛いとか思ってしまったなんて更に言えないし。でもみんなも意外な一面も見れて面白がって……じゃなくて嬉しかったと思うんだけどな。ルークが変わり始めたようにジェイドも少しずつ柔らかくなってきているというか、ね。
「ま、いいでしょう」
眼鏡のブリッジをくいっとあげて言うジェイドにお咎めなしと思い、心の中でホッと息を吐つ胸を撫で下ろす。
「お仕置きは話が終わったらじっくり、としますから」
「ひゃあ!」
耳元で囁かれる。感じる吐息に甘い声。耳を押さえて仰け反りそうになるのを彼は私の腰に手を添えて支える。人の気も知らないで……もしかして知ってるんじゃないかって思うくらい。忘れたいのに忘れさせてくれない。このもやもやした気持ちをどうしろっていうんだろう。
「楽しみにしてて下さいね」
「……遠慮させて下さい……」
頬に帯びる熱を余所にそれを考えるだけで寒気がしそうだ。そんな些細なことなのにそういうつもりはないというのに想いは募る一方で離れたくないなんて思ってしまう。けど、それは出来ないんだ。