26話 揺蕩う標
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「ルーク!いい加減にしなさい。焦るだけでは何も出来ませんよ」
声を上げたのはジェイド。珍しく怒鳴りつけるその声にルークは目を見開いて口を噤む。これには他のみんなも驚きを隠せなくてジェイドを見る。
「空を翔る……」
みんながジェイドの言葉に黙り彼を見ている中、私は眼下を見下ろし口ずさみ始める。この歌がルークのためとかそんなんじゃないけど、ルークがどう飛んだらいいのか分からない小鳥に見えたから……ふと歌いたくなった。
「……真咲?」
ただただ歌う。
きっと、ルークの為なんかじゃない。私自身のためなんだ。結局は何も出来ない私。どうしたらいいのか分からないの。全てを先回りして防ぐのがいいのか物語の通り被害はあれども新しい未来へと進んだ方がいいのか……どう羽ばたけばいいのか、分からない。
「……なんか、悲しい歌ね」
「真咲が歌うから……?」
どう飛べばいい?
私はまだ迷ってる
どうしたらいいのか迷っているからその間に誰かが傷付く
それでも前に進むしかなくて……
決心が付かなくてさ迷うだけだけど……私は
「……ルーク」
歌い終えても外に顔を向けたまま赤毛の少年の名を呼ぶ。ぼーっとしていたのか、えっ?…あ、ああ?と少し遅い返事をする。
「……ごめんね」
「何で、真咲が謝るんだ?」
ぽつりと呟いた言葉に意味が分からないと。私自身もよく分からない。事情を知らないルークに謝ってもそれはただの自己満足なのに。
……それでも何か言わずにいられなかった。
「ふむ…本当にもったいないのぅ」
「元帥?」
側に寄ってきたのはマクガヴァン元帥。長い髭をさすり、私の顔を覗き込み、ふむっと首を傾げる。じっと見つめられてどうしようかとオロオロしてしまう。前にも思ったけど何がもったいないんだろう?