26話 揺蕩う標
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「もう少し信頼して下さい」
言葉を失った。ジェイドの言葉に一瞬頭の中は真っ白になった。
『信頼』……していない?
物寂しそうな言い方をする彼に言い知れぬ罪悪感を感じた。話せる範囲の全ては話した。私の知る『物語』と言う未来はユリアの『預言』と何ら変わりなく好きではない。もしかしたら『私』と言う存在で何か変わってるかもしれない。その二つの理由から私は敢えて何も言わない。未来は自らの手で掴むもの……私はその道標になれればと、思っていたけどそれは思い上がりだったんだろうか?
「あ、あの…その…信頼してない訳じゃ…」
どう言い繕ってもそう思われている時点で信頼してないと認識されている。どうしたらいい?全てをさらけ出す?そんなの……出来ない。
「すみません。言い過ぎました」
「いえ……ある意味、間違ってませんから」
私の行動は自分勝手でそう思われても仕方ないんだもん。でも、何かヤだな。ジェイドの一言一句で気持ちの浮き沈みしちゃうのが。今、悲しい。忘れなきゃ忘れなきゃ……何度もそう思うのに気にしなきゃいいのに…なのに、ね。好きな人に『信頼』してないと言われるのは悲しくて悲しくて目頭が熱くなる。
「それで?」
「えっ?」
いきなり、それでって……どういう。あ、そう言うことか。
「えっと……港に停泊してあるタルタロスを発見したキムラスカ兵が私たちを捕まえようとしに来ます」
「開戦前ですから当然ですね」
だけどギリギリ間に合うこと誰かが犠牲になる様なことはないことを話す。これくらいの事なら話せる。ああそうか、それでいいのか。
「真咲……もう顔に傷を付けないで下さいね」
「へ!?ははは、はい!」
一人勝手にまた気持ちを浮上させているとジェイドが顔を覗き込んできた。あの日以来のこの距離にどくんっと心臓が跳ね上がる。顔まで熱くなってきて何だか気にしてばっかりの私がバカみたい。けど、今はこの距離が心地良い。