26話 揺蕩う標
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「ティアには回復はしてもらいました」
「その時は脳震盪だけ治って頬の傷は後回しにしたんです」
時間がない。ギンジと浮遊機関の両方を取るには私に時間をかけてられない。だから大したことのない傷より魔物を倒すことを優先した。さらに救出を優先したからまだ治療していないというとやはりギンジが目を伏せた。
「おいらのためにすみません」
「気にしないで。私は『軍人』だから、人を助けるのは当たり前だよ」
この言葉をみんながどう思ったのかは分からない。でもギンジにすぐ治るから平気と言えば彼は安心したように笑みを浮かべ、ありがとうございますと私に礼を述べた。みんな少し複雑そうな表情だけど今はこれが最良。
「ティア、ナタリア。手当てを」
「はい」
ようやく私の顔から手を離すジェイド。それと入れ違いにティアとナタリアが側に来てそれぞれ回復を施してくれる。二人掛かりで治癒してくれたおかげで実は少々不快と思っていた頬の痛みは消えた。ありがとう、と礼を述べシェリダンに戻るためにメジオラ高原を後にした。
「真咲、少しいいですか?」
最後尾を歩くジェイドに呼ばれる。さっきのことを訊かれるのだろう。隠せるわけもないのだから大人しくジェイドの横に着く。
「魔物が出ることを知ってましたね?」
「……はい」
だからルークと行くと言った。やれやれと言った風に目を伏せられる。
「それで怪我ですか?」
「見えなかったんです……気づいたら倒れて」
痛みを感じるのに更に数十秒。正直ああなるなんて思いもしなかった。見えなかったのは私ら見て右からの攻撃だったせいだと言えば、それには何も問いただしてはこなかった。
「黙っていてすみません」
もしメンバー分けをするときにルークがジェイドを選べばそれはそれでその事を話した。けどガイを選んだし、もしかしたら魔物は出ないかもしれないとして軽い考えも持っていたところもまた事実。