26話 揺蕩う標
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「アニスちゃんには分かりますよ。大佐、真咲には特に優しいですもん」
見てれば分かります!と豪語される。態度に表情に出ていたのか。アニスを少女だと思って舐めていてはいけない。勘も良くて頭もいい。
「今までの彼女を見ていれば心配になるのも分かるでしょう?」
一人血を流し、一人悩みを抱える。実際の彼女の体を考えるなら心配の一つや二つはする。いつ乖離してもおかしくはない体。第七音素を受け入れられない体。アクゼリュスの一件以来そのことが明るみに出たことにより真咲への見方も変わったのはアニスも認めているところ。
「でもぉ……」
「何をコソコソ話してますの?」
それはアニスとて同感だ。だがジェイドは自分らとは違う目で真咲の事を見ている。本人が一番分かっているはずなのに……そう口にしようとすると後ろで一人歩いていたナタリアが声を掛ける。
「わたくしには聞こえてはならない話ですの?」
「いえ、アニスが真咲が心配だと言うんで大丈夫ですよって答えただけですよ」
シェリダンに向かう途中調子が悪いと言っていたでしょう?と含みのある笑みを浮かべればアニスもそ、そうなのぅ…と話を合わせるように頷く。
「そうでしたわね。ですがあちらにはガイやティアがいますし大丈夫ですわよ」
いくら第七音素を受け入れられないとは言え多少のことなら知識の豊富なガイや軍で訓練を受けて処置に対応できるティアもいる。そう返せばアニスも黙るしかない。
「さぁ、急ぎますよ。遅れて間に合わなかった…なんてことになるわけには行きませんからね」
正直、胸騒ぎにも似た不安はある。だがあちらは四人でナタリアの言うとおりガイやティア、それに成長し始めたルークもいる。大丈夫、だと言い聞かせて先を急いだ。