26話 揺蕩う標
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「いいんですかぁ、大佐ぁ~」
先頭を歩くジェイドの横にちょこんっと付きおもむろに訊ねるアニス。この少女がこんな風に訊ねるくらいだ。またろくでもない事だろうと思いながらも、何ですかぁ?とアニスのように語尾を伸ばして返事をする。
「真咲のことですよぅ。心配じゃないんですか?」
「心配ですよ。先日も体調を崩してましたし」
本当はイオンとともにシェリダンに置いてくるつもりだった。だが彼女のことだ。意地でもついてくるだろうと何も言わなかった。いくらイオンがいるとはいえキムラスカ領にマルクトの軍人である真咲一人を置いてくるのも気が引けた。
「そうじゃないですよ!」
アニスの言いたいことは分かる。前々から彼女が口にしては真咲に怒られていたのだから。ジェイドと真咲をくっつけたがっている。前なら何の冗談を、と言えたが今となっては断言できない。
「(気を引き締めないと感づかれますね)」
気づかれて悪いものではない。だが本人に想いを伝える前に他の人間に知られるのも少々気分が悪るい。特にアニスになればそれでからかってくるだろう。あともう一つ気に掛けるならガイだ。無意識とはいえ真咲に触れようともした。彼も彼女に惹かれてるのだろうと確信はしたがあの時の自分の態度を思い出せばあれは嫉妬だ。
「(ガイも感づいてるでしょうね……)」
ふっと自身の手を見つめる。先日、悪夢で魘された彼女を抱きしめたときの温もりを思い出す。先走った行動とも言えた。が、あれ以上触れていたら理性を押さえられた自身はない。だから離れたのに真咲から抱きついてきたときは本当に弾ける寸前だった。
「大佐は真咲#のこと……」
「急ぎますよ」
アニスが全ての言葉を発する前に遮り足を早める。急いでいるのは事実。それでもアニスは引き下がろうとはしない。