26話 揺蕩う標
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「そうさねぇ。ただこっちも困ってるんですよ。アルビオール初号機が、メジオラ高原の崖に墜落してしまって……」
「中に操縦士が閉じこめられた状態でメジオラ突風が吹いての」
今にも崖から落ちそうで救援隊を派遣しようにも戦争が始まりそうで軍人は皆、出払っているという。助けに行きたくても行ける状態じゃない。
「だったら俺が行くっ!」
救援隊が出せないのなら自分が行く……ルークが真っ直ぐにイエモンさんを見つめてそう言うと皆が驚き目を見開いた。
「よく言いましたわ、ルーク!それでこそ王家の蒼き血が流れる者ですわ!」
「……べ、別に王家とかそんなん関係ねーって!」
ルークのまっすぐな言葉に誇らしげに笑みを浮かべるナタリア。けど、ルークはそれは関係ないと返すと「えっ?」と目を丸くした。違うものね。君が何故、自分が行くと言ったのか……それは王家だからと軍人だからとかそんなもの一切関係ないんだよね。
「ルークはただ操縦士さんを助けたいだけなんだよね?」
「……真咲」
私がぽんっとルークの肩を叩いてあげると一瞬、言葉に詰まったものの私を見つめ返し頷いた。その意志は誰にも変えさせないと言わんばかりにルークの瞳にはしっかりと自身の意志が込められていた。
「……真咲の言うとおり。ただ俺は……できることをやらなきゃって。だいたい人を助けるのによ、王家とか貴族とか、そんなん、どうでもいいかな……とか……」
それだけだよっ!と最後は照れくさそうにぶっきらぼうに言い放つ。可愛いなぁ。他に誰もいなかったら撫でくりまわしたい……ほんとに。
「……私たちの中には軍事訓練を受けた者もいます」
「俺たちが浮遊機関を持ち帰ったらら二号機を貸して欲しいんです」
交換条件を出すと二号機はまだ未完成でしかも戦争のせいで部品も足りないという。するとジェイドがタルタロスの部分を使っていいとその案内をイオンに頼み、私たちはアストンさんからアルビオールを固定するランチャーを借りてメジオラ高原へ向かうために街を出た。