26話 揺蕩う標
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「とにかく、まずは浮遊機関を借りられないか相談してみよう」
「そうですわね。あのイエモンと言うご老人を訊ねればよろしいのではないかしら」
「僕からお話しすれば、多少は話が通りやすいと思います」
行ってみましょう。イオンの言葉に頷き私たちはイエモンさんたちの去っていった方へと踵を返した。その間、ガイがまた暴走し時のことを考えてなのかジェイドが隣を歩いていて落ち着かなかった。恋だの愛だのを騒ぐ年でもないけど、こういうものは幾つになっても慣れないな。片思いのドキドキ感を楽しみたいと言う人の気が知れない。いっそ止まってしまえばいいのにとか思ってしまう。
「どうかしましたか?」
「……別に何も」
何か複雑だなぁ。どういう意味で心配されてるのかよく分かんない。ジェイドはこのメンバーで唯一、私のことを知ってる人。物語の先を知っているとで苦しんでると思われてるのか先日の一件の事を心配してるのか伺え知れない。
「お、ここみたいだぞ」
「失礼します」
街の人からイエモンさんたちの居場所を訊いたらしいルークたちが集会所の戸を開けて中に入る。私たちの存在に気がついたイエモンさんたちにイオンが事の経緯を説明してくれた。セントビナーの住民を助けるために浮遊機関とイエモンさんたちの助けが必要だと。
「……話はあいわかった。しかし亡くなられたはずのナタリア様が生きておいでとは。しかもマルクトの住民を助けるために働いておられる」
腕を胸の前で組み頷くイエモンさん。『マルクトの』と言う言葉に敏感に反応したルークの表情が怒りに満ちたように変わった。
「マルクトとかキムラスカとかそんなん、今はどうでもいいだろ!」
同じ人間……それにどこの国の民など関係ない。当然、以前のルークならこんな事を言うどころか考えることもなかっただろう。徐々により良い方向へと成長していくルークに人知れず笑みを浮かべてしまう。私は知ってたから。君がいろんな人と触れ合って変わっていけることを。