25話 馳せた想いに涙流れる
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「……バカ」
気付いてしまった。気付かないように、心の奥底に仕舞っていた感情に気付いてしまった。
「す、き…好きなんだ」
溢れ出した想いは止まらない。消えることはない。好きなの。好きになってたの。いつからなんて分からない。ずっと気づかない振りをしていただけなのかもしれない。彼の温もりが香りが大きな手が全てが私に安心を与えてくれる。
「……気付きたく、なかった」
どうして気付いてしまったんだろう。これすらが必然なんて思いたくないのに。優しさに甘えすぎたのかな。優しいから、傍にいて抱き締めてくれるから。あの温もりを望んでしまったから。
「…うっ」
また涙が溢れ出す。止めどなく止めどなく……この涙の意味は?……私は……長く生きられないだろう。音素のない体はいつまで保つのか分からない。今すぐにも乖離して死んでしまうかもしれない。そんな人間に好意を向けられたって迷惑なだけ。
「忘れなきゃ……」
忘れなければいけない。この想いは互いに重荷になる。私の想いなんてジェイドには迷惑だ。向こうはそういう風には見ていないんだから。
「……なのに」
好き好き好き……この想いをもっとはっきり言うならば……
「愛してる」
忘れたくない。忘れられない。なら、隠さなきゃ、隠さないと。愛してるけど……この想いを告げることはきっと一生ないだろう。今の私にはまだやらなければならないことがある。目先の目的、セントビナーの人たちを助けること。
「今だけ……好きでいさせて。今だけ」
この呟きは誰にも聞かれることはない。聞かれてはいけない。いつか、ちゃんと忘れるから今だけ……愛させて。
愛してる
放たれた恐怖を忘れてしまうくらい
彼への想いが溢れ出す
忘れるから、忘れるから
今だけ……愛させて