25話 馳せた想いに涙流れる
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「イヤあぁぁぁーっ!!」
「真咲!」
叫び声とともに目を開ければ、目の前にはジェイドの顔があった。緋色の瞳はまっすぐと私を見ている。意識がはっきりしてくれば両腕は彼の両手によって掴まれていた。布越しに伝わってくる温もりに安堵を覚える。どうやら座席に座ったまま眠ってしまっていたようだ。
「ジェ、イド…さん?」
その安心からか強張っていた体から力が抜ける。そのまま倒れそうにもなったけどジェイドに支えられているからそれはないが。
「……また、何かの夢を見たのですか?」
心配そうに私を覗き込むジェイドに力なく頷く。そして、ポツリポツリとさっき見た夢の内容を話し始める。暗い部屋。顔の見えない誰か。翳された光……全てが恐怖で満ちていた。夢の中だと分かっていたのに死を覚悟した。死んだと思った。怖くて怖くて……初めて人を殺したときより、ヴァンに斬られたときより怖くて。たぶんケテルブルクの辺りから見始めたはず。その時はよく覚えていなかったけど。
「……何かの暗示」
前回もそんな感じだった。結果的に死んではいないけど。ヴァンに斬られて血溜まりに倒れる。その夢は当たった。そしてその夢は私の能力で、『千里眼』という。こんな夢を見せるのが私の能力?今は……それを考えたくない。
「……ディストに捕まったときに、その…ディストの笑った顔が、何か怖くて」
思い出しただけで体がまた震える。恐怖という恐怖が体を支配し始める。嫌だ。嫌だ。こんなの嫌だ。何で私なの?私に何が起ころうとしているの?オールドラントでの私の存在理由って……何処にあるの?
「――っ!」
フラッシュバックするが如く、もう一度さっきの夢が目の前に広がる。消えることのない恐怖に私は何を思ったのだろう。目の前のジェイドに抱きついた。誰でも良かったのかもしれない。ただ……誰かに縋りつきたかったのかもしれない。