25話 馳せた想いに涙流れる
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「……っ!!」
ゾッとした。彼の私を見る目に背筋が凍える。この感覚、最近どこかで感じたような。まるで恐怖で身が凍る……怖い。怖い怖い怖い……ここにいたくない。
「…い、や……イヤっ!!」
何が怖いのか分からない。ヴァンに感じた恐怖より、比べものにならないほど怖いと感じた。あの目を見ていられなくて私の方から視線を思い切り逸らした。何としなければ。何とかしないとみんなも動けない避難が出来ない。方法はないわけではない。見つかるのは怖かったけどディストの様子を窺うためにチラリと彼を見る。ディストはすでに私から目を離し、動けないルークたちを見下ろしながら高笑いしている。
「――時を紡ぐ者どもよ 我が声を聞き、我が声に答えよ」
幸い杖は持ったまま。なくても私が念じただけで手中には現れる。ディストに気付かれないように小声で詠唱し始める。視線だけを……ジェイドへと向けて。気付いて、お願い気づいて。そう祈りながら震える声を必死に振り絞って詠唱を続ける。
「彼の者が持ちし銀の指輪 我を彼の元に導かん……」
ジェイドに預けている指輪を思い描き言葉を紡ぐ。私の視線に気付いたのか彼は私の方を見た。目があったのは一瞬。後は賭に出るのみ!
「我が名に於いて命じる 我が名は"真咲" 千里の力を持つ者なりっ!!」
杖をカイザーディストに打ち付ける。その音で何事かとディストがこちらを見たがもう遅い。術を完成させた私はカイザーディストのアームの中から消えていた。
「なっ!?」
何が起きたのか分からないディスト。けど次の瞬間には私はジェイドの腕の中にいた。彼が私の意図を瞬時に察してくれたおかげでいきなり現れた私をちゃんと受け止めてくれた。必死にしがみつけば向こうもしっかりと抱き締めてくれる。