25話 馳せた想いに涙流れる
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「さすがに街の全員を移動させるのは骨が折れますね」
「きちんと説明して誘導させないと大混乱になっちゃうかも~」
「手分けしても街自体が広いから尚更だね」
街中に散らばって誘導をしていたが一度、途中経過をジェイドに報告しに街の入り口の方へと戻る。そこにはすでにアニスがいて少し疲れたように息を吐く。画面越しで見ていると大した人数には見えないが実際は数千という人間を一気に素早く移動せねばならない。骨が折れるどころではない。
「残ってる人がいないように、ちゃんと隅々まで探さないとな。移動は女と子供優先でいいのか?あ、老人もか」
私たち三人の元にルークも駆け寄ってくる。流れる汗を一拭いして辺りを見回しながらジェイドに問う。その問いにそうですねと返すとよしっと頷いた。
「じゃあ、馬車もいるかな?ケガしてる人がいたら馬車はそっちにつかっていいか?」
「そうですね」
足の遅く体力の少ない女子供をいかに上手く素早く移動させるのかをう~んと考え込むルーク。そうだと顔をジェイドに向けてそう提案した。彼が同意するとよし、じゃあ俺、あっち見てくるよとまた駆けだして行った。それをジェイドとアニスは唖然とした表情で見送り私はその頼もしさに嬉しくて笑顔で見送る。
「ふむ。私は楽で良いのですが、少々戸惑いますね」
「だから言ったじゃないですか。ルークは元々、優しくていい子なんですよ」
顎に手を置いてルークが走り去った方向を眺めてどう表現したらいいのか分からないといった表情をするジェイド。そんな彼に人差し指を立てて私は言いましたよ?とまるで我が子を誉めるように言う。アニスもアクゼリュスの時とは随分違うと感嘆のか息を吐く。あれが本来のルークの姿なんだよ。でなければいくらアクゼリュスの一件がいったからとは言えあんなに劇的変化はしない。その素養は誰にでもある。甘やかされて育てられたルークはその表現方法を知らなかっただけ。