25話 馳せた想いに涙流れる
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「……大丈夫そうですね」
「…はい、すみません」
私の手を離して息を吐く。前にも同じことをしてるからちょっと怒られるかと思えばジェイドは私の見間違いではなければ安堵の表情を浮かべていた。どうして、そんな顔をするの?あなたなら分かるでしょ?私が話したことを理解してくれているなら。私がルークを止めることが出来たなら、全てを話していたならアクゼリュスもセントビナーも崩落はしなかった。やっぱり私は罪人だ。状況を目の当たりにしてようやく自覚した。今まで甘えてたんだ、私は。
「自分を責めるのは止めなさい」
ふわぁと鼻につく香水。その香りに意識を戻しすぐに目に入ったのは蒼でああ、抱き寄せられてるんだって気付いたのはその数秒後。心地よい感じは以前より増してる気がする。けどすぐに今の状態をみんなも見てるじゃないかって慌てて彼から離れる。
「あ、その…あれ?みんなは……」
「とっくに住民の誘導に行きましたよ」
何をどう言おうかと頭を巡らせればさっきまであった気配はない。辺りを見渡せばルークやアニスらも誰もいない。この部屋には私とジェイドしかいなかった。何処へ行ったのかと問えばもうみんな外へと出て誘導を開始していると。
「わ、私も行かないと」
「真咲」
振り返り部屋から出ようとすると後ろから手を掴まれる。言わずとそれはジェイドで振り払おうと力を入れるけど、ぐっと力強く掴まれ離すことが出来ない。
「忘れないで下さい。あなたは確かに数千人の命を救ったのです」
彼は背を向けたままの私に静かにそう言った。浅はかな私の考えなんてジェイドにはお見通しだったのだ。
「たとえ住む場所を失っても生きているのです」
とても人の死を理解できない人の言葉とは思えない。アクゼリュスはなくなってもそこに住んでいた人は生きている。きっとこの言葉は私が一番言って欲しかった言葉。嬉しさのあまりか一筋だけ涙が零れた。どうしてなのだろう。嬉しくて仕方ないよ。ありがとう……心の中で礼を述べる。