25話 馳せた想いに涙流れる
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「民間人をエンゲーブ方面へ避難させるようにのとことです」
「しかしそれでは街の守りが……」
ピオニーからの命を伝えるジェイド。しかし元帥はそれに渋る。エンゲーブに住民を避難させるということはセントビナーの警備をしている兵士の大半をそちらに回さなくてはならなくなる。そうするとこのセントビナーの守備が半減……ううん、それ以下になる。住民を避難させる終わる頃にはセントビナーは陥落している恐れがある……けどその前に、崩落が待っている。
「何言ってるんだ。この辺り、崩落が始まってるんだろ!」
キムラスカ軍が迫っているのに街を手薄には出来ないと言う元帥たちにルークが腕を振って怒鳴る。今はそんな場合ではないだろう、と。
「街道の途中で、私の軍が民間人の輸送を引き受けます」
将軍は移送後、ノルドハイム将軍麾下に加わって下さい、とジェイドが前に出る。
「了解した……セントビナーは放棄するということだな」
「遺憾ながら」
「よし。わしは街の皆にこの話をしてくる」
将軍は口惜しげに頷き、とても引退したと思えない軽快な動きで部屋を飛び出した元帥の後を追うように部屋から出ていった。要塞の街と呼ばれたこのセントビナーもさすがに崩落には勝てない……アクゼリュスだけじゃない。私はこの街も守れなかった。悔しい。いずはその運命だったとはいえ、守れたものを守れなかったという事実がどうしようもない歯がゆさを掻き立てる。何をしにこの地にいるのだ?ヴァンの野望を止めるためにいるのでは?結局何も出来やしない。
「真咲」
いつの間にか俯いていた私の前にはジェイドが立っていた。顔を上げると彼はポケットから手を出し私の手を取る。あ、とそこに目を向けるといつかのように手を思い切り握りしめていた。そっと手袋を外される。強く握られた手は爪の後はうっすらとあるものの傷にはなっておらず赤くなってるだけ。