25話 馳せた想いに涙流れる
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要塞の街で
放たれた恐怖
それと共に心に宿ったこの感情
……気付きたくなかった
気付かせないで欲しかった……
「皇帝陛下のご命令がなければ、我々は動けません!」
セントビナーのマルクト軍事基地に入れば、白く長い髭を触る老人と先ほど声をあげていたマルクト軍の軍服を身に纏った男性が言い争っていた。マクガヴァン元元帥とマクガヴァン将軍……ややこしく面倒くさいから元帥と将軍でいいや。
「ピオニー皇帝の命令なら出たぜ!」
言い争いをしている二人に大声でルークが言う。突然の声に元帥と将軍はこちらへと振り返る。その瞬間、将軍は目を見開き驚愕の表情を浮かべ、その視線の先はジェイド……理由は問うまでもない。
「カーティス大佐!?生きておられたか!」
「ええ、何とか。こうしてお目にかかれて光栄ですよ。マクガヴァン将軍、それに元帥閣下」
ジェイドが生きていたことが信じられないとそれともしぶといとでも言いたのか将軍は複雑そうな顔をしていた。少し皮肉じみたジェイドの言葉に今度は苦虫を噛みつぶしたように表情を歪めた。が、それに対して元帥はわしは引退した身じゃ、と笑顔のジェイドに目を細める。そしてふと目に入ったのか私のほう顔を向けた。将軍もつられるかのように私の方を見る。
「んっ?そっちのは…」
「彼女は真咲・霧島少佐。私の部下ですよ」
マルクトの軍服を着ているが一体誰だ?といった感じに見られる私の肩にジェイドは手を置き紹介する。私の名を聞いて、そう言えばそういう報告も聞いている。と元帥は髭に触れる。そして私の前に来て見上げた。
「ジェイド坊やにはもったいないのぅ……して、陛下はなんと?」
じっと私を見つめて、ぽつりと呟きジェイドに振り返る。もったいないって何がもったいないんだろう?