24話 水の都で心に秘めた想いを綴る
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「確かに……長きに渡って戦争をしていると歩み寄ることより、いがみ合うことしか出来なくなってるのかもしれないな」
しばしの沈黙の後に口を開いたのはピオニー。戦争がなくならないのは何かと理由を付けて争うことを望み、歩み寄ることを望もうとしない。それが永遠に続くのならば何も変わりはしない。
「……出すぎたことを言いました」
「いや、真咲の言うとおりだ」
場の空気を悪くしてしまったことに頭を下げるとピオニーは気にするなと手を振る。つい、思っていることを口に出してしまった。けど、いつかは誰かが言わねばならないこと。戦争を望んでなくても力ある者に屈しなければならなくて言えなかった事を全てを知っていて話さない私が口に出してしまうなんてなんて皮肉なものなのだろう。
「……少なくともアクゼリュスの消滅は、キムラスカの仕業じゃない。仮にそうだとしてもこのままならセントビナーは暴落する。それなら街の人を助けた方がいいはずだろ!……あっ……いや、いいはずです。もしもどうしても軍が動かないなら、俺たちに行かせてください」
お願いします。と頭を下げるルークに同意したナタリアも「わたくしからもお願いします」と願い出る。マルクト軍ではなく自分たちが動くのならばマルクト軍を巻き込むことはない。被害があるのは自分らだと。
「驚いたな。どうして敵国の王族に名を連ねるおまえさんたちが、そんなに必死になる?」
「敵国ではありません!少なくとも庶民たちは当たり前のように行き来していますわ」
困っている民を救うのが王族に生まれた者の義務だとナタリアはきっぱりと言い切った。ここはルークとナタリアからすれば敵国の中枢部。このまま捕らえられれば人質になってしまう……けど、それよりも崩落に巻き込まれてしまうかもしれないセントビナーの住民を救いたい。だから敵も味方もない、と。