23話 私と陛下と懐刀…
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「……何をいきなり」
顔を隠すように眼鏡のブリッジを押さえる。それを見てピオニーはくくくっと笑う。ジェイドがじろりとピオニーを睨むと「まぁ待てよ」と、組んでいた手を腰に当てる。
「見てりゃ分かるぞ?伊達に長年、幼なじみをやってないからな」
適わない。この男には適わないと目を伏せ、小さく息を吐く。そういった素振りは見せたつもりはないのに、たった小一時間、話をしていただけでバレてしまうとは思わなかった。さすがは賢帝と呼ばれるだけはある。これには苦笑を浮かべるしかなかった。
「だからなんですか?」
「おっ、認めたな」
開き直るようにこれぞとばかりに笑みを浮かべる。自分で言っておきながら「認めたな」と言うこの幼なじみに全く困ったものだと。
「いや、安心した。お前でもちゃんと人を好きになるんだな」
「人を何だと思ってるんです?」
うんうんと頷くピオニー。それに呆れるしかないジェイド。それでもピオニーは本当に安心していた。人の死を理解できないこの幼なじみがその人を愛することが出来たと。それが異世界から来た女性だ。
「言ったのか?」
「そう見えますか?」
言った……告白をしたのかと問えば、言ったように見えるかと聞き返す。それに対して「いいや」ときっぱりと答える。
「お前はともかく、真咲を見ればわかる……言わないのか?」
「……彼女には恋人がいますよ」
好きなら告白しちまえばいいじゃねぇか、と言うピオニー。が、ジェイドは首を振る。
「恋人?何で分かるんだ?」
「この指輪ですよ。サイズは真咲のですが……本人がそう言ってましたし」
大事な人からの贈り物…恋人からの贈り物。それを今も大事にしているのであればまだ想っているのでないかと、そう思うと臆病になる。