23話 私と陛下と懐刀…
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「なかなか、可愛いじゃないか」
「可愛いという年でもないですよ?」
真咲が隣の部屋に消えていったのを見てピオニーが腕を胸の前で組みながらにたにたと笑みを浮かべる。そんなピオニーにジェイドは肩を竦めそう返すと「可愛いもんは可愛いんだよ」と。
「お前が気に入るのも分かる気がするな。俺が欲しいくらいだ」
「何、馬鹿なことを言っているんですか」
真咲が着替えている自室を見て言う幼なじみにジェイドは眼鏡に手を置いて「はぁ」と溜息を吐く。この男が言うと何処までが本気で何処までが冗談かが分からない。
「いいじゃねぇか。あんな一途な女、そうはいないぜ?」
「……一途、ですか?」
腕を組んだまま隣に立つジェイドを見て言えば、彼は何処が?と問う。何に対して一途なのかが分からない。自分よりも仲間や他人を思いやり、誰よりも体にも心にも傷を負った女性……そう認識しているつもりだった。
「ああ。理由は分からないが、自分の身がどうなってでも預言を覆したい……自分の為じゃない。他人の為、十分一途だと思うぞ」
先ほどの真咲の言葉を思い出し、ユリアの預言を自分の身を捧げてでも覆したいという彼女は一途だとピオニーは言い切った。その理由が分からなくても。ピオニー「だろ?」と言えばジェイドは「…そうですね」と目を伏せる。
「ところでお前」
「はい?」
体をジェイドに向き直し、にたーっと口角を上げるピオニーに何か嫌なものを感じた。話を急に変えたところを見るとたぶん、ろくでもないことだと思いつつも相手は自由奔放なこの国の皇帝。考えるだけ無駄だろう。
「お前、真咲に惚れてるだろ?」
自信満々に言う。表情は満面の笑みで、それは楽しそうに。ジェイドの悪い予感は当たってしまった。