23話 私と陛下と懐刀…
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「……わたくしではこれ以上は…軍の治癒士なら……」
まだ予断を許さない状態。このままだと死んでしまう。本来のストーリーならもう死んでいる。死なせないためにジェイドとグランコマに行かずにここに残ったんじゃないか……脳裏に一つの可能性が浮かぶ。出来るか?私に?ううん……
「出来ないじゃない、為さねば成らないんだ」
「真咲?」
私の呟きにイオンがこちらに顔を向ける。ここで考えたって始まらない。やらなければ何の結果も出せない。たとえ悪足掻きでもやらなきゃならないんだ。
「私がグランコマに連れて行く」
「ええ!?でも、間に合わないよぅ?」
「…大丈夫」と辛うじて生きているマルクト兵の脇に腰を下ろし、杖を召喚する。本当に大丈夫かは私次第。問題はどうやってグランコマに向かうかだ……画面上でしか街を知らないからイメージがしづらい。んっ?物でもいいかな……アレしか思いつかないし。
「――時を紡ぐ者どもよ 我が声を聞き、我が声に答えよ」
座りながら杖を振るえばみんな驚いた表情を浮かべる。
「彼の者が持ちし銀の指輪 我を彼の元に導かん 我が名に於いて命じる 我が名は"真咲" 千里の力を持つ者なり――!!」
私が魔術を使えるようになっているのはまだ誰も知らないから「真咲?」と声を上げる。私の詠唱と共に現れた光は私と瀕死の兵士を包み込む。自分には使ったことがないけど、人を送るのも私自身を送るのも要領は一緒。私の紡ぐ言葉次第。私の力は言葉を具象化する力。初めて理解した気がする……教えてくれたアッシュに感謝しなきゃ。
「みんな、ここでじっとしててね」
この忠告はたぶん無駄だろうけどと思いながらもそう言う。私の視界が消える寸前にルークが手を伸ばすが、間に合わずに私は消えた。