23話 私と陛下と懐刀…
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長い時間待っているせいか暇らしく、アニスは木を殴っている。さっきのマルクト兵に対しての八つ当たりもあるんだろうけど……痛くないのかなぁ?ぶつぶつと何か言っているのは聞こえないことにしよう。
「……!?」
何か……今、見えた?ラルゴに襲われてる兵士の姿。まるでスローモーションのようにラルゴの鎌がマルクト兵を切り裂く様が見える。慌てて顔を上げるが、目の前には人一人いない……見える距離なら声も聞こえるはず。いや、見えたという事はこれからすぐに事が起こるかすでに起こっているかだ。
「真咲?どこに行くんですの?」
気になって私が立ち上がって森の方に駆け出すとナタリアも立ち上がる。一緒に待ってると言ったのに一人で森の中へと進む私に続くようにみんなも立ち上がる。
「悲鳴…誰か襲われてる!」
一度振り返り、森の中へと走り出す。みんなも躊躇しながらもついて来る。本当はみんなには森の外で待っていて欲しいかったんだけど、もしこの先にシンクとラルゴがいたらやっと術が使えるようになったばかりの私一人ではあの二人に太刀打ちなんて出来ない。
「あっ!」
森の中を少し進めばそこには血塗れのマルクト兵が倒れていた。辺りには他の兵士の姿もシンクとラルゴの姿もない。血塗れのマルクト兵を見てルークたちも辺りを警戒するが他の人の気配はない。
「癒しの光よ――ヒール」
マルクト兵の傍らに膝をつき、すぐさまナタリアが回復を施す。まだ、息はある。何とか助かって欲しい。けど、本来の物語なら、この兵士は森の入り口までやってきているはずなのに。ここで倒れて意識を失っている。辛うじて息があるのは変わらないけど。微妙な時間の誤差はいい意味なのか悪い意味なのかは……まだ計り知れない。