22話 銀世界で紡ぐ導きの歌
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「こんな所で歌っていたら風邪を引きますよ?」
歌い終え、白を見下ろす私の肩にふわりと何かが掛けられた。それは藤色ストールで、ゆっくりと後ろを振り返れば、そこにはジェイドが微笑みながら立っていた。私も釣られるかのように笑みが零れた。
「……これは?」
「あなたが出ていったきり帰ってこないので捜してる途中、寒いと思い店で買いました」
ジェイドに向き直り、肩に掛けられたストールに触れる。綺麗な藤色で触り心地もいい……きっと高価なものだと察してしまった。
「えっ、わざわざ?」
私を捜しに来てくれただけじゃなく、こんな高そうなストールまで買ってきてくれるなんて……どうしてそんなに優しいんですか?てっきりルークとまだ話をしていると思った。ジェイドがここにいるということはもう話は終わっているんだろうけど。じっとジェイドを見上げたままでいると、彼は私の頭に触れる。
「雪が積もってますよ」
クスクスと笑いながら私の頭の上の雪を払う。言われるまで全然気付かなかった。雪が乗っていたと思われる辺りがひんやりと冷たい。歌うことに夢中で雪が積もっていたことに気付かなかったんだ。また子供みたいなことして恥ずかしい……もういい年どこじゃないのに……ちょっと穴があったら入りたいかも。だってまだジェイドがクスクス笑ってるし。
「……ありがとうございます」
一応、お礼は言う。見上げていた顔は斜め下の方に向けて……みっともないところを見せてしまった恥ずかしさのせいなのかそれとも、ジェイドの笑みを見たせいなのか。何なのか分からないけど彼の顔を見続けることが出来ない。変なの…最近の私は変だ。喧嘩ばかりしてたと思えば、ふとそんな優しい顔するんだもん…心臓に悪いよ。どうしていいのか分からない……でもこの微笑みに安心を覚える。