22話 銀世界で紡ぐ導きの歌
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「失礼。旅券と船籍を確認したい」
タルタロスを港に付け、数日ぶりに陸に降りると一人のマルクト兵が近寄ってきた。船籍、と言われてもとみんなが互いに顔を合わせていると、最後にタルタロスから降りてきたジェイドが前に出る。
「私はマルクト軍第三師団所属、ジェイド・カーティス大佐だ」
「し、失礼しました……しかし、大佐はアクゼリュスで……」
死んだはずのジェイドが目の前に現れたことが信じられないと、驚きの表情が隠せないでいた。それもそうだろう、街一つが消えてしまうほどの崩落に巻き込まれたはずの人間が生きて目の前に現れれば。いくら死霊使いとはいえ、人間なのだから高いところから落ちれば死んでしまう。
「それについては極秘事項だ。任務遂行中、船の機関部が故障したために立ち寄った。事情説明はオズボーン子爵へ行う、艦内の臨検は自由に行って構わない」
「り、了解しました。街までご案内します」
軍人の口調でそう説明すると兵士は姿勢を伸ばし敬礼する。兵士が街に案内すると言ったとき…他の人には気づかない程度だけど目を細めた。こんな些細な変化に気付いてしまうのが少し嫌な気がするけど……どうしてか嬉しい気もした。
「いや、結構だ。私はここの出身なのでな」
だから道は分かっているとジェイドが言い断るとと兵士は失礼しますと再度敬礼して足早に去っていった。
「へぇ……ジェイドってここの生まれなんだ」
「ディストもここの出身ですよ」
ルークが言うとイオンが微笑んでそう言った。バッとイオンの方を振り返って「マジか?」と聞き返せばイオンは頷く。まさかあのディストとジェイドが同郷だと誰も思わないだろう……でもそう言われれば前にディストがジェイドのことを、かつての友と言ったのも頷ける、と。ここはジェイドにとって辛い過去しか残っていないから……ディストのこともあまり思い出したくないだろうな。まぁ元々、ウザイ存在だったとは思うけど、一時のことを考えれば尚更ね。