22話 銀世界で紡ぐ導きの歌
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「あなたは触れられないでしょ?」
ガイの手が私の頬に触れるか触れないか……それくらいまで伸びたとき、ジェイドがガイの腕を掴んで止めた。腕を掴まれたガイも些か不機嫌そうに顔を歪めた。
「真咲。頬に煤が付いてます。これで拭きなさい」
ガイの腕を掴んだまま私の方に振り返ったジェイドは空いている手に持っていたタオルを私に差し出す。受け取ったタオルで顔を拭けば黒い汚れが思い切り付いていた……さっき顔触ったときに付いたんだ。また子供みたいなことしちゃったけど……ジェイド、何か怒ってる?いつも怒ってるときのように声音が低いわけじゃないんだけど、何て言うか……雰囲気というか空気というか。よく分かんないけど、そう感じた。
「と、ともかく。やれるだけのことはやってみる」
「分かりました。私は艦橋に戻って、皆さんに知らせてきます」
掴まれた腕を勢いよく自身の方に引き、もう少し調べつつ処置をするというガイ。ジェイドはみんなに報告に行くとちらりと私の方を見てから機関部を後にした。一体何だったんだろう?
「真咲。レンチを取ってくれ」
「はい」
ガイが処置をしていくものの泥が入り込んだ所や部品がショートしてしまっている部分はどうにもならずこれ以上は無理だ判断し、手を止めた。
「タオルここに置くよ」
「ああ、ありがとう……それにしても」
直接触ることの出来ないからタオルは手すりに下げる。ガイはそのタオルで油まみれになった手を拭きながら、こちらを見て言葉を続ける。
「真咲は音機関が分かるのかい?」
「あー、音機関は分からないけど向こうでそういう仕事してたから」
簡単にとはいえ処置を施していく私にガイが問う。音機関を扱う女性は少なくはないが、異世界から来た私が多少なりとも弄れるものだから不思議だと。元の世界で扱っていたと言えば、ガイは、へぇと感心の声を上げた。そして、処置の報告をした私たちは艦橋に戻った。