21話 為すために出来ること
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「どうやら、追っ手は来ないみたいだな」
イオンとナタリアを救出後、ダアト第四石碑の丘まで一気に走って逃げ出した。みんな、肩で息をしながらダアトのほうを振り返るが、追っ手が来る様子はない。今はモースもいないはずだから、無理矢理追っ手が来ることもない。ただバチカルに向かうのは出来れば阻止したかったけど……今回の目的はイオンとナタリアを助け出すこと。魔術の使えない私では今まで以上に何も出来ない。
「公の場で、イオン様を拉致するような真似は出来ないのだと思うわ」
ティアの言葉にみんな頷いた。あそこで無理矢理追ってきて暴動でもおこせば、逆にイオンを教団で軟禁していたことがバレてしまう。イオンが一言、私たちとともに行動している。モースに軟禁されていた、と街中で言ってしまえばいい。教団の面子を守るなら、下手な行動は出来ない。
「真咲…あなたにまで無理をさせてしまって」
「そうですわ!まだ体の方は本調子ではないはず」
顔色が悪いです。と言うイオンの言葉にナタリアも顔をこちらに向けた。顔色に関しては、まあ、ちょっと疲れたけど……たぶん、それだけじゃないだろう。それが分かっているのか、ルークらも少し顔色を変えて俯いた。
「……真咲、少しいいですか?」
「えっ?…あ、はい」
何かを察したイオンが私の手を取り、みんなから少し離れたところに連れて行く。何だろう?こんな時に……この後、グランコクマにケテルブルクに向かうはずなのに。
「どうしたんですか?」
背を向けていたイオンがゆっくりと振り返る。
「何かあったのですか?皆さんの様子がおかしいです」
それだけではないですが、と続けた。あれだけあからさまに口を噤めば怪しむだろう。イオンとナタリアだけ内緒にしておくわけにもいなかいね。ナタリアにもあとで説明しないと。