21話 為すために出来ること
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「うんうん、青春の憂いですね。若いうちはおおいに悩むことです」
「無理矢理悩ませておいて、よく言うよ……」
悩み考え込んでしまったティアを見ながらジェイドがそう言えば、ガイが、はぁ~と息を吐く。ジェイドは、人聞きの悪いとしれっと返す。
「やっと、真咲が笑ったかな?」
「……そうですね」
まだ考え込んでいるティアの側に行った真咲を見て、ガイが呟く。ジェイドも先程とは変わって笑顔は消えていた。
「人を殺すのはこれで二度目か?」
「ええ、タルタロスを襲撃された時ですね」
六神将と幾度か戦闘になったが、戦闘不能にはしたが息の根を止めるというところまではあの日だけ。ルークを庇って、神託の盾兵を殺してしまったあの日から、ルーク同様に毎晩、魘されるようになった。
「…ですが、感情を殺さないと人を斬れないのなら戦闘に参加しない方がいい」
グイッと眼鏡のブリッジを上げるジェイド。視線はティアを慰めている真咲。ガイも釣られるようにそちらに顔を向けた。
「確かに、その間だけのつもりが段々と元々の感情まで殺しかねない…それに」
理由はなんであれ、人を殺したという事実を否定しかねない。と言葉を続けた。
「どっちにしても、真咲はまだ本調子じゃないだろ?だったら下がらせた方がいいんじゃないか?」
「彼女が素直に従ってくれるかですけどね……見かけによらず頑固ですからね」
意識を取り戻して数日。聞けば、ベルケンドからワイヨン鏡窟へ向かう途中にも貧血で倒れたという。何の訓練もしていない元々一般人の真咲があれだけの大怪我を負って、ここに来るまでに数え切れないくらいの戦闘をこなしている。
「フォローに入りますよ」
じっと、真咲を見つめるジェイド。その視線の意味を察したのか、ガイは短く、ああとだけ答えた。
そんな会話が二人の間でされていたなんて私は知らなかった。