21話 為すために出来ること
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「仲間を呼ばれる前に片付けますよ」
ジェイドの手にはいつの間にか槍が握られている。みんなも敵意を剥き出しにしている神託の盾兵に武器を構えていた……私だけ逃げていられない。腰の剣に手を伸ばす。柄をしっかりと握って一気に鞘から引き抜く。……逃げるな!迷うな!前を見ろ!ルークも頑張ってる。まだ人を殺したくないはずだ。そのルークもまだ迷いは消えないだろうけど、でもそれでも……
「為せば成る……」
数人いる兵士の一人が私に向かってくる。殺気を放ちながらどんどんと近付いてくる。みんなは目の前の敵に集中しているから『私』には気付いていない。神託の盾兵が振り下ろす剣を躱す。人間との戦いにはあまり慣れてないけど、魔物に比べたら鎧を着た神託の盾兵なんて止まっているようなものだから私でも躱せる。時間を食うわけにはいかない……だから力のない私が一撃で敵を倒す方法は………
「――っ!」
躱した体制から左足を軸にして体を回転させ、剣を振り薙ぐ。勢いのまま神託の盾兵の胴を切り払えばそこから血が噴き出し、私の顔に掛かる。生温かい……数ヶ月前のあの日を思い出す。私が初めて人を殺してしまったあの日を。
「――真咲っ!!」
血溜まりの中で絶命した神託の盾兵をただ見下ろしている私に気付いたルークが駆け寄ってくる。みんなのほうももう片付いたみたいで、私で最後だった。
「…大丈夫だよ」
なんで、ルークが泣きそうな顔をしてるの?心配をしてくれてるのだろうけど……そんな顔をしてるルークのほうが心配だよ。もう一度、大丈夫と微笑んで、頬に付いた血を手の甲で拭う。
「急ごう……」
剣に付いた血もハンカチで拭って鞘に収める。ここで立ち止まるわけにはいかないんだ……だから進まなきゃ。この作戦で何度か神託の盾兵との戦闘をした。その間だけは…私は感情を殺して、人を斬った。