20話 あなたに逢える喜びを
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「…先日、アッシュに唄った歌とワイヨン鏡窟での言葉の意味は?」
やっぱりどっちも聞こえてたんだ。どうしよう…どうしたらいい?アッシュとの会話も聞かれてたとか…でもそれはないだろう。その事は聞いてこないし……とは言えどう誤魔化そう。下手な嘘は直ぐに見破られるのが落ちだし、かと言ってあれはルークとアッシュの事を歌ってるなんていくら本当のこととはいえ言えないし。
「言いなさい。真咲」
ぐっと手首を掴む力が強くなる。手首に痛みが走り、少し苦痛の表情を浮かべたが掴む力が弱まることはない。顔もあと数十センチ目の前まで近寄っていて、あの綺麗な顔のアップに顔に熱を帯びてくる。向こうからすればそんな事はお構いなしなんだろうけど。近いです!って言っても、言いなさいとしか返さない。万事休すな状態になってしまった。
「あの…歌は、その…」
何て言えばいいのだろう…下手な嘘は意味がないことは分かっている…てかさっきも思ったし。何にしても彼は一瞬で見抜いてしまうはずだ。
「……私の世界の歌で…ルークとアッシュの、事みたい…だったから」
上手く説明ができないけど全部が嘘じゃない。カルマはアビスのテーマソングだし、私には二人のことを歌ってると思ってるし。ただ手を掴む力が強くて痛いせいか言葉が少し途切れ途切れになってしまう。
「……ジェイドさんが、フォミクリーを発案しなかったら…ルークは、存在しません。私は…ルークが本当は優しい子だって知ってます……どんな経緯であれ、彼と出会えたことが嬉しいんです」
この後、再会するルークは変わろうと努力し始めている。これからのルークを私は見ていきたい。アッシュと共に生きていかせてあげたい。
「だから…私はジェイドさんに感謝します」
「…真咲」
手が痛いのを我慢して微笑む私の名を呼び、ジェイドは掴んでいた左手を離す。そして、その空いた手で私の頬に触れる。