20話 あなたに逢える喜びを
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「私が引き付けますから、ジェイドさんは譜術で!」
ジェイドの返事を待たずに私は腰に差している剣を鞘から抜き魔物に向かって走り出す。後ろからジェイドが私の名を呼ぶ声がしたけど聞こえない振りをしてそのまま斬り込む。ガイに手ほどきを貰っていたおかげで私もだいぶ戦えるようになっていた。特に真っ先に教えて貰った防御と切り返しは役に立っている。
「――っ!」
魔物の攻撃が腕に当たり体力の回復しきらない体は踏ん張ることが出来ずよろけてしまう。
「荒れ狂う流れよ――スプラッシュ!」
すぐに体勢を整え、反撃に出ようとしたときジェイドの譜術が炸裂し、それで魔物は音素へと返っていった。
「…はぁ」
魔物が消えたのを見て剣を鞘に納める。背後に気配を感じて振り返れば、遠くにいたはずのジェイドがいて、さっき魔物に攻撃された私の腕を掴む。
「いたっ!」
「…大した怪我じゃないようですね…タルタロスに戻ったら手当てをしましょう」
掴んでいた腕を離す。黒いインナーは少し破けていて、うっすらと血が出ていた。その部分をジェイドは軍服のポケットからハンカチを取り出し巻き付ける。
「前にも、似たようなことがありましたね」
「あなたはよく怪我をしますからね」
初めて、出会ったあの日にタルタロスで私が手を怪我したときにもこうしてハンカチを巻いてくれたっけ…何だか思い出すと凄く恥ずかしい。そして…初めて人を殺してしまったときのことまで鮮明に思い出されてしまった。
「行きましょうか」
「はい」
そんな事を打ち消すように軽く首を振り、タルタロスへと走り出す。物語通りに進んでいるとはいえ、立ち止まることは出来ない。タルタロスに戻って直ぐに修理に取り掛かった。音機関のことはよく分からないけど、音素のことを覗けば何となくの感覚でジェイドの手伝いをする。機械弄りは元の世界にいるときに仕事でやっていたから、少しは役に立っているみたいだ。