19話 彼に捧げる夜想曲
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「…さっきは、なんだ…その」
何か言いにくそうに話を切り出すアッシュ。さっき…もしかしてナタリアのことかな?
「いや、なんでもない」
そっぽを向いてしまうアッシュ。可愛いなぁ。そういうところは年相応なんだから。今のアッシュに、ルークに、届くかな?
「ゴメンね。アッシュが悪いわけでもナタリアが悪いわけでもないのに…私は命に優先順位を付けたくないし、命は全てに等しいものだと思ってるから」
例え魔物でも…と言おうか迷ったけどここに来るまで数え切れないほどの魔物を殺した私が言うことではない。こんな状況ではなければ魔物だって本当は殺す気なんてない。わざわざ戦う必要はないもん。黙り込んでしまったアッシュを見て私は息をすーっと吸う。
――ガラス玉ひとつ 落とされた 追いかけてもうひとつ 落っこちた
ひとつ分の陽だまりに ひとつだけ残ってる
私が歌い始めると、アッシュがこちらを向いた。伝えたいんだ。どうしても伝えたいんだ。
…分かって欲しい…あなたたちの出会いは必然なんだ。ユリアの預言なんて関係ない。ヴァンが預言を狂わせたいとか関係ないんだよ。
そう思うながら私は唄い続ける。今は眠っているルークにも届いたらいいな…この歌の意味はきっと人によって受け取り方が違うと思うけど。けして悪く取らないで。君らは二人で一人じゃない、君らは一人一人、個々の存在なの。
いつか伝わるといいな。馴れ合えなくてもいいの、ただ互いを認めて?ルークはルークの、アッシュはアッシュの道を進んでいるんだから。互いを相容れることが出来なくても、それはその人の人生なんだから。絶対に私があなたたちの未来を守るから。あんな結末は許さないんだから。だから――生きて!
最後まで歌い終わって、ふーっと息をつくと急に足に力が入んなくなった。がくっと膝が折れる。倒れる…そう思った。
「――おいっ!?」
アッシュの声がするとほぼ同時に誰かに支えられたから、てっきりアッシュだと思ったら違った。だって、嗅ぎ慣れた香水の香りがしたから。優しく抱きとめられ、地面に倒れ込むことはなかった。