19話 彼に捧げる夜想曲
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「ありがとう…アッシュ」
どういう了見で私のことを教えてくれたのかは分からないけど、素直に感謝する。全てではないけど夢の中の女の子のことと私の使う力のこともだいぶ分かったし。どういうものか分からないまま使ってたし、使う術によって名前もあったんだね。私が夢で見るのが"千里眼"っていうのか…何か大それた名前だなぁ。"移動方陣"は読んで字の如くなのかな?魔方陣を展開して移動させるってことなんだろうけど…字が違うか。でもそういう意味なんだろうな。
「アッシュ」
「何だ?」
その事とは別にアッシュに聞きたい…というよりは確認したいかな。
「私がこの先のことを知ってるなら…その事を知りたい?聞きたい?」
私は最後まで知っている。ルークとアッシュの結末もヴァンの最後も…まるで預言のように私は知っている。アッシュも私が知っていることを知っている。
「……いい。話したくないんだろう?」
「うん…正直、私が知っていることを全て話すのは簡単だよ。でもそれは預言と何の変わりもない。私は導きたい…私が知っている未来とほんの少しでも違う未来をみんなと一緒に導いていきたい」
この先の未来を話すのは簡単。ヴァンの先手を全て打つことが出来るから、世界が纏まれさえすればどうにでもなる。今すぐにでもナタリアをバチカルに帰してしまえばいい。ダアトに行けば捕らえられてしまうし…ナタリアとルークの死が戦争のきっかけになるのならば、ナタリアが今すぐにバチカルへと行けばいいだけのこと。でも――私は預言にも私の知る知識にも頼りたくない。世界の命運を掛けているのにと言われればそれまでなんだけど。
「俺はお前から無理矢理聞く気はない。俺も預言に頼るのはゴメンだ」
じっと私を見つめるアッシュ。小さな声でもう一度、ありがとうと言えば、礼を言われることじゃないとあっさりを返された。よくよく考えてみればかなり大それた事を言ってしまったけど、私はまだ何もしていない。アクゼリュスは崩落してしまった…私に出来たのはライガクイーンを助けたことだけ。何も出来なかった。