19話 彼に捧げる夜想曲
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「否定はしませんよ。フォミクリーの原理を考案したのは私です」
「ならあんたに、わしを責めることは出来ない」
潔く自分のしたことを認めるジェイドに対して、スピノザは責任逃れとも取れる言葉を吐く。その態度にイライラする。スピノザのこれからのことを知っているから尚更。これから起こる悲劇で彼もまたジェイド同様に己の罪と向き合うことになるなんて……何で、こんな悲しいことを繰り返さなければならないんだろう。
「すみませんねぇ。自分が同じ罪を犯したからといって相手を庇ってやるような、傷の舐めあいは趣味ではありません。私は自分の罪を自覚しています。だから禁忌にしたのです」
そして生物レプリカは技術的にも道徳的にも問題があり、最初のレプリカのどんな末路を迎えたか知っているはずだと続けた。それでもスピノザはヴァンに言われてレプリカ情報保存する保管計画に協力しただけだと、また自分に罪は無いという感じに言う。ねぇ、ぶん殴っちゃダメ?こいつのせいで…こいつのせいで。でも、繰り返しても終わることのない悲しみの連鎖を私がどうこう言う資格はないよね。アクゼリュスを救えなかった私が言う資格なんて…ない。
「保管計画?どういうことだ」
今まで黙っていたアッシュがいつも以上に眉根を寄せる。アッシュのその反応にスピノザは目を見開いて驚く。でもそれもこの後行くワイヨン鏡窟で分かることだ。
「アッシュ!お前さん、知らなかったのか!」
「いいから説明しろ!!」
「…言えぬ。知っているものだと、つい口を滑らしてしまったが、これだけは言えぬ!」
そう言ったきりスピノザは口を閉ざした。私たちは仕方なく研究所を後にした。
「ワイヨン鏡窟に行く」
研究所を出るとアッシュが言った。ワイヨン鏡窟か…その名を聞いたジェイドの眉がピクッと動いたのは見なかったことにしよう。そこにはレプリカを作るためのフォミニンが取れるという。ディストは元々、マルクトの研究者だからフォミクリー技術を盗んで逃げ込むにはいい場所だと。ワイヨン鏡窟に向かうためにみんなが歩き出すが、ガイは動かない。