19話 彼に捧げる夜想曲
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「はっ、キムラスカの裏切り者が、まだぬけぬけとこの街にいるとはな」
「裏切り者ってのはどういうことですの?」
吐き捨てるように言うアッシュにナタリアが問う。アッシュは、こいつは誘拐に一枚かんでいると軽蔑するような眼でスピノザを見る。
「まさか、フォミクリーの禁忌に手を出したのは…!」
アッシュの言葉に顔色が変わるジェイド。顔色が変わるというよりは怒っているのかもしれない。取り返しようのない過去の産物を己が野望のため蘇らせたのだから。たぶん…ジェイドにはそれはまだ過去の話なんかじゃないんだ。
「あんたの想像通りだ、ジェイド」
「ジェイド!?まさか『死霊使い』!?」
スピノザはジェイドの名を聞いて驚きの表情を見せ、顔を上げる。たぶんわざとアッシュはジェイドの名前を呼んだのだろう。アッシュが頷くとジェイドはスピノザを睨みつける。
「――フォミクリーを生物に転用することは禁じられていたはずですよ?」
眼鏡を抑えながらジェイドが問う。込み上げてくる怒りを抑えてるんだろうな…フォミクリーを封印したのはジェイドなりに考えた末なのに。六神将にディストがいるんだから蘇らせるのは簡単だったはずだし…私的には複雑だな。道徳的には許せるものじゃないけど、けどこれがなかったらルークには出会えなかったんだ。そう思うと、私には責めることも許すことも出来ない。
「フォミクリーの研究者なら、誰だって一度は試したいと思うはずじゃ!あんただってそうじゃろう?ジェイド・カーティス!いや、ジェイド・バルフォア博士!あんたはフォミクリーの生みの親じゃ!何十体ものレプリカを作ったじゃろう!!」
スピノザの告白に私とアッシュ以外の全員が驚愕の表情でジェイドを見る。きっと、アッシュの中から見ているルークが一番驚いているかもしれない。私はそんな二人に顔は向けているが、視線は逸らせていた。