16話 叶わぬ願い
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「この外殻大地を存続させるって言ってたじゃない!これじゃあ、アクゼリュスの人もタルタロスにいるオラクルも皆死んでしまうわ!」
「メシュティアリカ。お前にもいずれ分かるはずだ。この世の仕組みの愚かさと醜さが。それを見届けるためにも…お前だけには生きていて欲しい」
叫ぶティアにヴァンは優しく言う。きっと、ティアは泣いている。泣かないで、泣かないで――なんて私が言えないね。ゴメンね…ティアを泣かせたのは私だ。
「メシュティアリカ。お前には譜歌がある。それで――」
ヴァンの声は遠のいていった。アッシュとともにここから離れたか。それと同時に腹部に温かい感触を感じる。優しくてとても心地いい感覚。何かと思い、目を凝らして見ればナタリアが私に回復の譜術を使っていた。目から涙が流れ出ている。「しっかりしてください」と何度も何度も声を掛けてくれる。でもねナタリア――無駄なんだよ?私の体は第七音素を受け入れないんだよ?と言いたいのに声が出ない。ごほっ!と咳き込んで喉に固まっていた血の塊を吐き出す。血で汚れた私の口元をジェイドが自身のグローブで拭ってくれる。汚れるからいいよと言いたいのに血が滴る口から言葉を紡ぐことが出来ない。
「まずい!坑道が崩れる!!」
「私の傍に!早く!!」
ティアの歌声がする。綺麗だけど、どこか悲しそうな…フーブラス川で聞いて以来の譜歌。何でこの歌を聴くときの私は自身の命の燈に危険が迫っているときなんだろう。