16話 叶わぬ願い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「かはっ!」
本当に逃がせたなんて分からない。あの術を使ったのはライガクイーンのときだけ、上手くいく自信なんて微塵もなかった。今度こそ死んだと、死を覚悟して目を閉じた。どの道この出血ではそう長くは持たないだろう。
「ヴァンっ!!」
るーく?違うこの声は。
「真咲っ!――畜生、間に合わなかった!!」
「アッシュ!何故ここにいる!?来るなと言ったはずだ!」
アッシュが皆が来たんだ。私の名前知ってたんだね…今はそんなことどうでもいいはずなのに、血まみれになった私を見て驚いていることに私も驚いてしまう。アッシュとはなんの接点がないはずなのに…体が動かないから皆の姿を伺うことが出来ない。誰がどこにいるのか分からない。
「残念だったな。来たのは俺だけじゃない。あんたが助けようとしてた、大事な妹も連れてきてやったぜ!」
アッシュがそう言い放つと、さらに後ろのほうから「イオン様!」とアニスの声がした。私たちの頭上に陰が出来る。
「放せ!俺もここで朽ちる!」
どうやらアッシュは魔物に捕まったみたいだ。すっと、感覚を失い始めている体に浮遊感を感じた。寒気のする体に何となく人の温もりも感じる。
「真咲っ!!」
声の主はジェイド…ということは浮遊感の正体はジェイド?だんだんと目が霞んできてよく見えない。視界がぼやけてきているということはやっぱりもう私は死んじゃうんだ。
「兄さん!やっぱり裏切ったのね!!」
ティアの悲痛な声がする。妹が泣いているというのにこの男はヴァンは…最後の最後まで我を通す。自分のためにう憎む預言を消す為に愛する妹も全ての人間を犠牲にする。