16話 叶わぬ願い
夢小説設定
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「…わかりました」
イオンがアニスや皆の傍に離れなければ、セフィロトへの扉の封印は解かれることはなく、ルークがパッセージリングを壊すことはない。真実を伝えられないもどかしさがあるけど、物語を変えることにはなるけど、多くの人が死ぬよりはいい。イオンは私のほうを向いて、そう一言返事をした。私は驚いて目を見開いてイオンのほうを振り向く。私はその理由を何も言っていないのに…"分かった"なんて。
「イオン様?」
「僕はあなたを信じると言いました」
だからです。と、微笑んでくれた。ただその一言が嬉しくて"ありがとうございます"と小声で言った。―――信じてくれて、ありがとう。
私たちが足を進めた先――14坑道は本当に酷かった。たくさんの抗夫が倒れて、皆が皆一人で動ける者はいない。そんな惨状を見てナタリア、アニス、ガイがすぐさま倒れる抗夫たちの側に寄り譜術や薬を使用する。
「…おかしい。先遣隊の姿がない」
周りの様子を見て眼鏡を押さえながらジェイドが呟く。坑道の奥に来たというのにヴァンはおろか、先遣隊の一人も遭わない。それもそのはず、先遣隊はヴァンの手によってすでに殺されているはず。やっぱり危険を承知でバチカルからヴァンに付いていけばよかった。
「…ってぇ」
後ろでルークが頭を押さえる。アッシュが同調フォンスロットを繋いだ…ということはアッシュはアクゼリュスの近くまで来ている。
「様子がおかしいですね…何かあったのかもしれない」
ルークに気を取られているとジェイドが天井を見上げる。確かに何か音がした気がした。タルタロスが近づいてきているのかな。