16話 叶わぬ願い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「真咲、あなたは上で待ってなさい」
私の目の前に立ち声を低くして言うジェイド。その目は先日見せてくれた優しさはなく、厳しい目だった。後ろで腕を組んだまま私を赤い目を細めて見下ろしている。
「でも…」
「デオ峠で言ったはずです。あなたの"大丈夫"は信用しないと」
確かに言われた。何度も倒れて心配を掛けているから…それでも私はここで引き返すわけにはいかない。あの赤い目を見てるのが怖くて下げていた顔を彼のほうに上げる。
「一緒に行きます。何があっても絶対に」
睨みつけるようにジェイドを見つめて言う。"何があっても付いていく"と、絶対の意思を見せるように。今回に限っては私から引くことは出来ない…
「――分かりました。ですが、無理だと判断したら強制で外に連れ出します」
「…はい」
意地でも付いていく…心にそう誓う。体は苦しくてだるくて辛いけど、それを見せないようにしっかりと頷く。先に進む途中、イオンやアニスからも何度も本当に大丈夫かと訊かれたが、咳き込みそうになるのを堪えて平気だと答える。ガイにも無理はしないでくれと言われてしまった。さらに下降に進むと『第14坑道』と木枠に書かれた坑道の入り口に着いた。中に進もうとしたとき、一人のオラクル兵が近づいてきた。
「あなたがグランツ響長ですね?」
ハイマンと名乗るオラクル兵がティアの前に立ち敬礼をする。
「ご苦労様です」
「モース様に第七譜石の件をお知らせしたのですが」
その兵は第七譜石の件だと言うとイオンが驚きの表情を浮かべて、ティアのほうを振り返る。