16話 叶わぬ願い
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「坑道の奥はもっと酷いらしいよ?急がないとやばい感じ」
ここより酷いか…でもここで立ち止まるわけにはいかない。私にはやらなくちゃいけないことがあるのだから。みんなもアニスの言葉に頷いて坑道の奥を確認に行くことになった。さっきからぼーっとしているルークにティアがそう促してもまるで気のない返事を返すだけだった。
「親善大使殿は、どうやら当てにならないようです」
坑道への道を進みながらジェイドが呟くように言う。アニスも人手が足りないのにと頬を膨らませている。前回の一件以来ルークの株は下がりっぱなしだ。この現状を受け入れられないんだ。自分が想像していた状況ではなく本当にどうしたらいいのかわからないのだ。
「まぁ、仕方がないかもな。こんなの初めてだろうし」
「初めてなのは、私だってそうですよ!」
「ルークもきっと数日もすれば王族として、親善大使としてその役目を果たしてくれるでしょう」
ガイが苦笑を浮かべて言うが、アニスの頬は膨らんだままだ。ナタリアがそう言うがたぶん誰もそうは思ってはいないかもしれない。いつまでも自分が一番偉いと豪語している間は…ヴァンの捨て駒のままでいる間は。
「それまでは私たちだけで頑張りましょう」
苦しんでいる人のために、とティア。
「…真咲?大丈夫ですか?」
ぼーっと歩いていた私にイオンが声を掛けてきた。口元を押さえたままだったからか心配そうに顔を覗き込んでいる。
「だいじょう、ぶ…けほっ、けほっ!」
皆には分からないようにしていたのだが、声を出したことで瘴気が入り込んでその苦しさから咳き込んでしまった。両手で口を押さえて咳き込んでいるとイオンが背中を擦ってくれる。