16話 叶わぬ願い
夢小説設定
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「何が汚いんですの?何が伝染るというんですの?馬鹿なことを仰らないで!」
ルークを怒鳴りつけ再び男性に振り返り、回復を施す。他の皆も散らばり倒れている人達に薬を飲ませる。私もみんなに続いて介抱するためにバッグから薬を取り出すとルークに近づく男性が見えた。
「あんたたち、キムラスカ側から来たのか?」
どうしたらいいのか分からずにぼーっと立ち尽くすルークに一人の男性が声を掛けてきた。自分に声を掛けられたことに驚きながらも男性のほうに振り返る。
「あ、ああ…」
ルークが戸惑いながら返事をすると、それに気づいたナタリアが立ち上がる。その男性のほうに歩み寄るのを見て私もナタリアの傍に行く。
「わたくしはキムラスカの王女、ナタリアです。ピオニー陛下からの依頼を受けて皆を救出に来ました」
ナタリアがそう言うと表情を明るくした男性はパイロープと名乗り、ヴァンから話は聞いているという。離れた場所で薬を配布していた皆も戻ってくる。
「グランツ謡将と先遣隊は?」
「グランツさんなら坑道の奥です。あっちで倒れている仲間を助けてくださっとります」
ジェイドの問いパイロープさんは奥の坑道を指差して答えた。14坑道…ここで起こることを止めなくては何の意味も無い。なのにまだみんなに本当の事が言えない私は臆病者だ…私がこの世界に飛ばされた意味はまだ分かんないけど、もし止めることが出来るなら――
「…けほっ、けほっ」
そして何故だろう…咳が止まらない。この辺りはガイの言うようにフーブラス川の瘴気よりましなはずなのに。リグレットの言うとおり、少量の瘴気でも私の体には敏感に反応するんだ。