16話 叶わぬ願い
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たった一つの願い事
彼を、みんなを助けたい
たとえ物語に
抗っても、叶えたいの
デオ峠を越えて二日。私たちは先日のこと以来、微妙な空気のままアクゼリュスに到着した。街の中に入れば街の中は紫色の瘴気に覆われ、あちらこちらで多くの人が倒れている。皆が皆、瘴気のせいで顔色が悪い…まだ入り口でこれってことは、奥のほうに行ったらどれだけの惨状が広がっているのだろうかと想像するだけで怖い。この時点でも思ったりより酷い…全員がそう思った。
「想像以上ですね…」
誰も口にしなかったことをジェイドが周りを見渡しながら心情を口にする。私はこの瘴気のせいか体がだるく感じ、フーブラス川のときのように咳が出始めた。デオ峠でのリグレットに言われた言葉を思い出す――"少量の瘴気ですら命を縮めてしまう体"…それっていったい。確かにフーブラス川で瘴気を吸ったときも倒れて意識をなくした。第七音素は受け入れないけど、瘴気は受け入れてしまう体…私の体ってどうなってるの?
そんなことを考えているとナタリアが私たちの目の前で膝をついた男性に近づいて声を掛けた。大丈夫ですか?と今にも倒れそうな男性の肩に手を置き支えてやる。
「おい、ナタリア…汚ねぇからやめろよ。伝染るかもいれないぞ」
その様子を見てルークが発した言葉にナタリアは怒りを露にした表情を浮かべて睨み付けた。