15話 浮かび始めた不協和音
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「…くっ、冗談ではないっ!!」
怒りが治まらないのか、手中の槍の柄を岩壁に叩きつけた。彼の心の苦痛が感じられた…本当のことを知っている私とイオンには分かってしまう。それはジェイドにとって忘れたくても忘れられない記憶。それが今、こんな形で現れたんだ、辛くないわけが無い。
「大佐…珍しく本気で怒ってますね…」
普段見せないジェイドの感情を露にした姿にアニスが怖々と言う。それにはティアもガイも何も言葉が出せずにいて、まだ旅の仲間としては日の浅いナタリアに至ってはきょろきょろと目を泳がせている。
「――失礼。取り乱しました。もう大丈夫です。さぁ、アクゼリュスに急ぎましょう」
槍を消して振り返ったときにはいつものジェイドだった…表面上は。心の中では自分とフォミクリーを復活させた者に対しての怒りでいっぱいなはずだ。それがとても痛々しかった。
「ふざけんな!俺だけ置いてきぼりにしやがって。何がなんだかわかんねーじゃんか!!」
ルークの悲痛な叫びが響いた。私がその理由を言うわけにはいかない…というより私がその事を知っていることをまだ知られるわけにはいかない。それはただ私の保身の為。ミュウが一人立ち尽くすルークに声を掛けるが、ルークは怒鳴って返す。最後にぽつりと、俺を分かってくれるのは師匠だけだ…と聞こえた。
違うよ。みんなもあなたを分かろうとしないけど、君もみんなの事を分かろうとしないんだよ。ヴァンは君を騙しているだけ…自分の目的の為だけのために君を生み出し、君を殺そうとしている。このままではヴァンの思うがまま――私もそろそろ決心をしなければならない。物語の通りに進めるか、阻止をするか…それとも。考え事をしながら歩いていると、ぽんっと頭を叩かれた。顔を上げればいつの間にはジェイドが傍に来ていて心配そうに私を見下ろしている。