15話 浮かび始めた不協和音
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「休むぅ?何言ってんだよ!師匠が先に行ってんだぞ!?」
また、ルークの空気を読まない言葉。みんなの視線がイオンからルークに移る。その視線は軽蔑を露にしたものだった。
「ルーク!よろしいではありませんか!」
「そうだぜ。キツイ山道だし、仕方ないだろう?」
幼馴染の二人からそう言われると、ルークの表情が変わった。まずは驚愕の表情を浮かべ、すぐに怒りの表情に。
「親善大使の俺なんだぞ!俺が行くって言えば行くんだよ!!」
自分の言葉よりイオンの体調を優先されることに怒っているんだ。ルークは自分の言葉が皆を傷つける自分勝手な発言だとは気づいてはいない…ただ、ヴァンに追いつきたいという、焦りから。
「ア、アンタねぇ!」
「では、少し休みましょう」
アニスが再び怒鳴ろうとすると、ジェイドがそれを遮った。皆もジェイドの意見に賛成して、休めそうな場所を探す。イオンがすみませんと謝れば、舌打ちをして、少しだけだぞと返す。段々とルークと皆の溝が広がっていくのが見えた。ルークは皆と離れた場所で一人でいた。私は小さく息を吐き、持っていた水筒から水をコップに注いでルークの前に出す。
「――っ、な、何だよ!?」
「飲んだほうがいいよ」
微笑んで見せれば、ルークは私から視線を逸らした。みんなが自分から離れていっているのはたぶん分かってはいる…だから私が側に寄って来たのに驚いたんだ。
「お、お前も文句言いに来たのかよ」
「んっ?私は言わないよ…ううん、言えないかな?」
そう言いながら水の入ったコップを無理矢理、ルークの手に握らせる。自虐じみた笑みを浮かべれば、何かを察したのかルークの表情は泣きそうに歪んだ。それには気づかない振りをして、ちゃんと飲むんだよ?とだけ言って私はその場を離れる。けど、皆とは少し離れたところで腰を下ろした。