15話 浮かび始めた不協和音
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「いいえ…私は救われましたよ。タルタロスで尋問されたとき。イオン様は私を"信じる"って言ってくれました。世界で誰の味方もいない私を"信じる"って言ってくれたことで私一人じゃないって、思えたんです。それに―」
イオンを抱きしめたまま、初めて出会った頃のことを思い出す。たった一人だった私を救ってくれたのはイオンだもん。あの時イオン様が握ってくれた手が温かくてそれだけで泣きたくなるくらい嬉しかったんですよ、とイオンの肩から頭を上げて続ける。イオンは少し照れたような表情をして、苦笑する。
「俺もそんな考え方には同意できないな。イオンには抑止力がある。それが『ユリアの預言』のおかげでもね」
ガイも頷く。イオンにはイオンだけにしかない力がある…だから自分を否定しないで欲しい。
「なるほどなるほど。皆さん若いですねぇ。じゃ、そろそろ行きましょうか」
今まで黙って見ていたジェイドは軽く手を叩いて先を歩き出した。ガイは、食えないおっさんと称して苦笑を浮かべた。
「――真咲、ありがとうございます」
私はイオンから離れると、イオンは笑みを浮かべて私を見た。そのまま、イオンの手を繋いで先を行くジェイド追う。そんな中、
「イオン様!?」
急な坂道を登っている途中で隣を歩くイオンが膝をついた。顔色が悪い――慣れない峠越えで疲労しているんだ。膝をついたイオンに、大丈夫ですか?と手を貸せば、すみませんと私の手を取りふらふらと立ち上がる。
「少し休みましょう」
と、言うとみんなは頷き、前を歩くルークは後ろを振り返った。眉を寄せて、少し怒った表情で。