15話 浮かび始めた不協和音
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「あんた…バカ?」
「バ、バカだと…!?」
我慢の限界に達したアニスが全員が思った言葉を言い放った。ルークは自分が愚弄された言葉に怒りが湧き起こったのか拳を震わせている。
「ルーク。私も今のは思い上がった発言だと思うわ」
「この平和はお父様とマルクトの皇帝が、導師に敬意を払っているから成り立っていますのよ?イオンがいなくなれば調停役が存在しなくなりますわ」
ティアに頷いてナタリアもルークに非難の言葉をかける。なんで自分が責められているかなんて、今のルークには分からないだろう。ジェイドやガイは何も言わずにただルークを見つめている。イオンは自分が原因なんだと思って、俯いてしまっている。私は…今のルークに何を言っても無駄だと分かっているし、みんなを騙している後ろめたさから何も言えないでいた。
「いえ…いいんです。両国とも僕に敬意を持っているわけじゃない。彼らは『ユリアの残した預言』が欲しいんです。本当は僕なんて必要ないんです」
目を伏せながら言うイオン。知っていたけど…まだ十四歳の少年が言う言葉ではない。それがたとえ"導師"だからって。私はイオンの傍に行き、俯いたままのイオンを抱きしめた。
「…真咲?」
私のほうが背が低いから、イオンの肩に自分の頭を乗せる。温かいんだよ?君はちゃんと生きているんだ…導師とかそんなの関係なく、君は生きているんだよ。
「そんな、こと。言わないでください…私はイオン様に、イオン様の言葉に救われました」
「真咲?僕は何も…」
自分は要らないなんて言わないで欲しかった。このイベントでイオンがこう言う事を分かっているはずなんだけど、目の前で聞くそれは何か嫌なものに聞こえた。まるで自分の命なんてどうでもいいように聞こえる。